外国人雇用の現状 -1
人手不足と外国人労働者の雇用について
「日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は1997年をピークに減少し続けています。一方で、足元の有効求人倍率は1.57倍と依然として高い水準で推移し、業種によっては顕著に表れる人手不足感は否めません。このような状況下、政府は「働き方改革」の一連の流れの中で、様々な施策を打ち出し、その中の一つとして、外国人労働者の雇用促進が掲げられています。具体的には、2019年4月、特定産業の14分野で一定の技術や知識、経験を持つ外国人を対象とした新しい在留資格「特定技能」制度を導入。対象14分野には、介護業、外食業、建設業、農業など含まれ、初年度には最大約5万人の受け入れを見込んでいました。
最新の「外国人雇用についての届出状況」を見ると、確かに前年同月比約20万人増で過去最大を更新。しかしながら、内訳をみると増加率が最も高いのは、約25%増の「技能実習」です。肝心の「特定技能」は、「専門的・技術的分野の在留資格(約33万人)」に含まれますが、制度導入後7カ月を経て520人にとどまり、年度途中とはいえ、見込みの5万人には遠く及びません。
この結果の背景には、性急過ぎた制度導入で、準備不足、受け入れ態勢側の準備不足や理解不足など、外国人労働者を取り巻く様々な問題が浮かび上がってきます。次号ではもう少しミクロ・マクロ的視点で検証していきたいと思います。
項目 | 定義 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
専門的・技術的分野の在留資格 | 就労目的での在留。経営者、技術者、研究者、外国料理の調理師、特定技能等が該当 | 167,301 | 200,994 | 238,412 | 276,770 | 329,034 |
特定活動 | 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うもの | 12,705 | 18,652 | 26,270 | 35,615 | 41,075 |
技能実習 | 日本の技能・技術・知識を開発途上地域等への移転を図り、出身国の経済発展を担うもの | 168,296 | 211,108 | 257,788 | 308,489 | 383,978 |
資格外活動 | 本来の在留目的以外に、就労活動行うもの。留学生のアルバイト等 | 192,347 | 239,577 | 297,012 | 343,791 | 372,894 |
身分に基づく 在留資格 | 日本国内での身分または地位に基づくもの。永住者、日系人、その配偶者等 | 367,211 | 413,389 | 459,132 | 495,668 | 531,781 |
不明 | ― | 36 | 49 | 56 | 130 | 42 |
合計 | ― | 907,896 | 1,083,769 | 1,278,670 | 1,460,463 | 1,658,804 |
前年比 | ― | ― | 119% | 118% | 114% | 114% |