心理的安全性を高めてチームの成果を上げる (1)
組織におけるアンコンシャス・バイアスと心理的安全性
アンコンシャス・バイアスは、人々が無意識に持つ先入観や偏見のことを指します。また、効率的に大量の情報を処理し、すばやく行動することが求められる人間の脳に備わっている機能の一つでもあります。このアンコンシャス・バイアスは組織における心理的安全性と密接な関係にあります。
心理的安全性とは?
心理的安全性を初めて提唱した組織行動学の研究に取り組むハーバード大学のエドモンソン教授は、心理的安全性を「このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い」と定義しました。もう少し具体的に述べると、人々が自分自身を表現し、リスクや恐れを感じることなく、意見やアイデアを提案し、他の人との間で建設的な対話や意見交換が行われる環境において、自由に参加できる感覚や状態を指します。
心理的安全性のある環境では、個人は自分の考えや感情を開示し、他の人々との信頼関係を築きながら、自己成長やチームの成果を追求することができます。心理的安全性が確保されていると、人々は失敗や間違いを恐れずに新しいアイデアを試したり、他者との意見の相違を受け入れたりすることができます。
心理的安全性が低い環境では、アンコンシャス・バイアスが現れやすくなります。メンバーが自分の意見やアイデアを抑えたり、異なる意見を出しにくくなったりすることがあります。アンコンシャス・バイアスによって、特定のグループや個人が無意識的に差別や不公平な扱いを受ける可能性が高まります。
一方、心理的安全性が高い環境では、アンコンシャス・バイアスの影響を軽減することができます。メンバーは自由に意見を述べたり、異なる視点を尊重しながらコミュニケーションを取ることができます。心理的安全性が確保されると、個人は自己表現をしやすくなり、異なるバックグラウンドや意見を持つ人々が受け入れられるようになります。
組織やチームは、心理的安全性を高める取り組みを通じてアンコンシャス・バイアスの影響に気づき、その影響を減らす方法を見出すことができれば、離職率が低く生産性が高い組織形成を期待できるかも知れません。自分たちの組織やチームの心理的安全性の程度はどうなのか、取り組みを始める前はどのくらいなのかを知るためには、現状を計測することが大切です。