世代間ギャップを考えるー(1)
幅広い世代からなる人員構成という現実
今現在、企業や組織における従業員年齢構成は、より幅広い年齢分布になっています。さかのぼってはバブル世代の大量採用、氷河期時代の採用抑制などを経て、65歳定年延長もあり、形もいびつな人員構成になっています。
世代が拡大した分、世代間ギャップが強まり、働きづらさを感じる時代になってきているようです。ベテラン層が時間をかけて体得してきた、これまでの成功体験や仕事スタイル・精神論が、若年層には通用しない時代になってきました。「これだから若い人は・・・」、「これだからベテランは・・・」と、よく耳にするフレーズですが、共に一つの企業や組織に存在する以上は、この対立構造は解消し、エンゲージメントを高めていくことこそ、これからの少数精鋭の組織運営にとって重要なことです。
価値観が違うのは当たり前です。どちらが正しくて、どちらが間違っているということは決してありません。こうあるべきに縛られることなく、物事の本質、目的を達成するためには?という視点で考えてみましょう。例えば、「病欠の連絡は電話でするべきだ」というベテラン層と「SNSやメールでなぜダメなのか?」という若手社員。目的は病欠を伝えることなので、きちんと伝われば、SNSやメールでもよいはずです。それでも、声を聞いてどんな状態か把握しておきたいから電話を欲しいのならば、その理由もきちんと説明して、「だから電話でほしい」と上司は伝える必要があります。育ってきた背景や時代が違うという事実を疎かにしてしまうと、若手からは「意味が分からないことを押し付けてくるハラスメントだ」と反発が生まれ、お互いに思考停止になってしまいます。
思考停止に陥らないためには相互理解が必要です。まずは一般社団法人日本能率協会による「2022年の新入社員意識調査(N=545)」 の結果をもとに、若年層がどのような思考を持っているのかを紐解きます。
2022 年度 新入社員意識調査(抜粋) ~理想的だと思う上司・先輩~
この調査結果では、2012年度と2022年度の10年間でも大きな差異が見られます。この表とは別の質問では「指示が曖昧なまま作業を進めること」には、8割以上が抵抗あると回答しています。デジタルネイティブと言われる世代、何かあればまずインターネットで検索。分からないことを他人に尋ねるということは、自分の調査不足、勉強不足ではないのかと後ろめたい気持ちがあるようです。
2022年度新入社員の特徴としては、
・失敗したくない。
・承認欲求が強い。褒められたい、感謝されたい。
・プライベート重視、無理なくほどほどレベルでよい
・働く環境がとても大事。
・コスパ(コストパフォーマンス)と、タイパ(タイムパフォーマンス)が大事。無駄が嫌。
このような特徴であることを前提に、上司やベテラン層は若手社員にどのような関与をすべきか、次号さらに考えていきます。
出典:2022年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)