世代間ギャップを考えるー(3)
求められるリーダー像の変化と、コミュニケーションの考え方
かつて、カリスマ〇〇という言葉が世の中にたくさんあふれていたこともありましたが、最近ではマネジメント分野でも、「カリスマリーダー」という単語をあまり耳にすることがなくなりました。卓越した行動力、決断力があり、先頭に立って組織やチームを牽引していくような絶対的存在。見方を変えれば、有無を言わさぬ圧力的な命令や指示をもって支配的な組織運営をしている、そんな典型的なリーダー像ですが、ニーズが多様化し、個を尊重する現在では、一人のカリスマ人材だけでは成果を出すのが難しい時代になっています。
典型的なカリスマリーダーのマネジメントでは、今どき若手社員は早々に離脱してしまうリスクがあります。若手育成のキーワードは「ケアして育成!」です。新しいリーダー像として挙げられるのは、青山学院大学陸上競技部監督 原晋 氏、侍JAPANの野球日本代表監督 栗山英樹氏ではないでしょうか。どちらにも選手の能力を最大限に引き出すことを大切にし、選手を信じていること、期待感を伝えることを含めて、コミュニケーションをマネジメントツールとして使いこなしている印象です。想いを伝えたうえで、自分自身で気づき、考え、行動できる選手になってもらうために方向性を示す。そんな考えを持って選手たちに接しているのは共通しているように思われます。これは、まさに今求められている「ケアして育成」の目指すべき姿ではないでしょうか。
では具体的なマネジメント方法として、部下とコミュニケーションをとるために月1回の1on1ミーティングをやればいいのか、という話ではありません。1on1ミーティング自体は素晴らしい取り組みですが、きちんと目的や意図が若手社員に伝わっていなければ、若手社員にとっては形骸化された意味のない、時間の無駄(タイムパフォーマンスが悪い)とかえってモチベーションを下げる結果となりかねません。形式的な一方的な伝達ではなく、対話を主体としたコミュニケーションが重要です。一人ひとりと向き合い、仕事の目的を明確に伝え、個人にあったフィードバックが求められています。対話を続けることで信頼関係が生まれてきます。信頼関係が生まれ、職場や組織内の良い関係性ができれば、自分の考えを否定されないという心理的安心感が芽生え、若手からの意見や発言、提案ができるようになり、自発的な行動もみられるようになります。そこの信頼感を得られるかが、上司の手腕にかかっています。
若手社員の特徴を知ることと、自分自身を知ること
若手社員の特徴を知る反面、上司自身の若手に対する苦手意識やネガティブな意識というものから目をそらすことはできません。若手の行動や発言に対して、モヤモヤ・イライラの気持ちがあれば、もしかしたら、アンコンシャス・バイアスが隠れているかも知れません。アンコンシャス・バイアスとは自分自身は気づいていない「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」のことをいいます。アンコンシャス・バイアスは、その人の過去の経験や知識、価値観、信念をベースに認知や判断を自動的に行い、何気ない発言や行動として現れます。上司も気持ちよく仕事ができるようになるために、アンコンシャス・バイアスを自覚することが第一歩となります。