2023年度 新入社員意識調査からマネジメントを考える‐①
意識調査から理解する新入社員の傾向
一般社団法人日本能率協会が毎年調査している「新入社員意識調査2023年版」の中から「理想的だと思う上司・先輩」についての回答結果をご紹介します。
2023年の新入社員の傾向で見ると、「仕事について丁寧な指導をする」、「部下の意見・要望を傾聴する」ことを上司に求める傾向がある一方、「仕事の結果に対して情熱を持っている」、「リスクを恐れずチャレンジする」、「仕事を任せて見守る」という“熱い”リーダーシップを望む人の割合は減少傾向です。2012年と2023年と比較してもかなり違いが出ています。
出典:一般社団法人日本能率協会「2023年度新入社員意識調査」よりアンビシャス作成
2023年の新入社員はコロナ渦に学生時代を過ごし、様々な事柄に制限がある生活を強いられました。すなわち試行錯誤することや他者と協同作業すること、自発的・自立的行動も制限されたと推察されます。学生時代に経験してこなかったことを責任ある社会人でいきなりできるでしょうか。バックグランドを想像すると調査結果が腑に落ちます。
一方で上司からの視点で考えると、マネジメントがかなり困難な時代になったのは明らかです。事業環境・社会情勢、働き方改革等労働環境など目まぐるしく変化する中、若手社員には「丁寧な指導」、「傾聴」、「ねぎらいと褒める」を求められる上司。困難な時代ですが、まず、「価値観が変化していること」をよく認識し理解することです。
仕事のスタンスだけで見ても違いは明らかです。上司の号令で全員動くことはなく、一つひとつの仕事(タスク)の意義や理由、やり方について丁寧に説明することが求められます。 これまでのカリスマ的、もしくは支配的リーダーシップではなく、今求められているのは、「サーバント型リーダーシップ」なのかも知れません。「サーバント」とは「使用人」という意味であり、その名の通り使用人のようにチームのメンバーをサポートするという役割です。1970年代には基礎が確立されたマネジメント理論ですが、サーバントリーダー10の特徴は、「理想的だと思う上司・先輩像」で求められているもの、そのものではないでしょうか。次回サーバントリーダーについて詳しくご紹介したいと思います。