2023年度 新入社員意識調査からマネジメントを考える‐②
サーバント型リーダーシップとはなにか
サーバント型リーダーシップとは、使用人を意味する「servant」から由来しており、1970年代、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ氏によって提唱されたリーダーシップ論です。
グリーンリーフの理論によれば、サーバント型リーダーシップは単なる業績向上や目標達成だけでなく、個人の成長や健康、自由、自主性など、より包括的な人間的な要素に焦点を当てることが重要だということです。このような視点からも、リーダーシップのあり方を根本的に変えているのかも知れません。従来のトップダウンの指示命令型や、リーダー自らが先頭を切ってチームを引っ張るというようなリーダーシップ論とは180度異なり、リーダーはメンバーの主体性を尊重し、どんなサポートをすればメンバーがより成長できるのかを考えます。先頭で引っ張るのではなく、背中を押すのがサーバント型リーダーシップです。
サーバント型リーダーシップでは、確かに従来に比べてマネジメントに時間を要するかも知れません。しかしながら正しいプロセスに則りサーバント型リーダーシップを実践するリーダーの元では、これまで言われたことに従うだけだったメンバーにも自主的な発言や行動が求められるようになり、主体性が生まれます。結果としてチームの活性化に繋がり、生産性が上がるという好循環を生み出します。主体性・自律性は企業が従業員に求める重要なコンピテンシーの一つでありながら、前回の「新入社員意識調査」から推察するに、若手世代は特に苦手な分野とも言えそうです。
サーバント型リーダーシップが今、注目されている理由
メンバーそれぞれ個性を生かしてパフォーマンスを発揮できるよう支援することがサーバント型リーダーの役割です。それがなぜ今、注目されているかというと、VUCA時代と呼ばれる不安定で予測不能な時代であるからです。技術の進歩やグローバル化などにより、ビジネス環境や社会が急速に変化し、不確実性や複雑性が高まっています。また、今は新たなリスクや機会が急速に現れ、これまでの予測や計画が通用しないことも特徴です。会社や組織自体がますます多様化し、異なるバックグラウンドや視点、価値観を持つ人々が共に働いています。この環境下、リーダーの過去の経験や主観に基づくのみでは、時代に取り残された硬直的な意思決定となり、正しい意思決定ではないかも知れません。また指示を待つ時間が発生するなどの非効率を生み、さらに「指示待ち部下」を生み出すことになりえます。結果リーダー自体が疲弊していきます。
「個人の成長や主体性に焦点を当てることで、結果組織やチームの業績向上、生産性向上へとつながる」、そんな視点を持ちながら日々のマネジメントをコツコツ行うことが、サーバント式リーダーシップの本質です。