介護休業の状況について‐【2】-
2025年の法改正の内容とは?
2025年4月の「育児・介護休業法」改正により、企業には介護離職防止のための雇用環境整備が義務付けられました。主な改正ポイントは以下の4つです。
◇改正のポイント
• 介護支援制度に関する研修・早期情報提供の義務化
(① ~④いずれかの措置を講じなければならない)
① 研修の実施
② 相談体制の整備
③ 自社制度利用者の事例収集・提供
④ 自社内での利用促進・周知
• 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
• 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
• 介護休暇の除外規定の廃止(勤続6か月未満も対象に)
• 介護支援におけるテレワーク導入の努力義務化
法改正の背景:仕事と介護の両立困難による経済的な影響
経済産業省においても、「従業員一人一人が抱える介護の問題は、その個人だけでなく、企業活動の継続にも大きなリスクを生じさせる」として危機感を持っています。
経済産業省によると、介護離職や介護発生に伴う物理的、精神的負担等によって引き起こされる労働生産性の低下(経済損失額)は、現状のままでは2030年には約9兆円に上る見込みであり、この損失額を減らすことは社会全体が対応すべき課題とみなしています。

| [グラフ]:「2030年における経済損失(億円)の推計」 [出 典]:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」 |
政府の危機感と現状とのギャップ
厚労省「令和6年度 雇用均等基本調査」によると、育児休業取得率は86.6%(女性)、同じ調査内で、介護休業制度の規定がある事業所の割合は、90.5%(事業所規模30人以上)と高いものの、介護休業利用者の割合は0.10%(男女計)と、利用率が著しく低いことが分かります。政府の危機感からなる制度の義務化と、実態との間に大きなギャップが存在することが明らかです。
別の視点から見ると、女性の社会進出を背景に介護者と要介護者本人との続柄も変化が生じています。共働き世代が多くなることで、専業主婦世代が多かった時代のいわゆる「嫁介護」は減少し、「実子」や「配偶者」が主たる家族介護の担い手となっています。つまり誰もが介護を担う可能性がある時代になっているのです。
介護休業の利用率が低いためか、企業としてはあまり積極的な施策を打ちづらい、もしくは優先度を下げてしまいがちかも知れませんが、対象者やタイミング、期間が比較的明快な育児休業と異なり、介護については、いつ介護の当事者になるか、いつ始まるのか、いつまで続くのか、その負担がどの程度であるかは予測不可能であり、また個々のケースにより全く異なるものです。だからこそ、企業には継続的な支援体制の構築が求められており、介護を理由とした離職を防ぐために、実効性のある職場環境の整備が重要です。