管理職と若手社員の相互コミュニケーション ‐【1】-
管理職と若手社員とのコミュニケーションの実態
近年、管理職と若手社員の関係性において、「関わりたいが、どう関わればよいか分からない」状態が顕在化しています。管理職側では、ハラスメントへの社会的関心の高まりを背景に、若手社員への指導や声掛けを慎重に行う傾向が強まっています。その結果、注意や指摘といった行為を避け、「当たり障りのない言葉」に終始する場面が散見されます。一方、若手社員側では、管理職から声を掛けられる機会が少ないことに対し、「期待されていないのではないか」、「何を求められているのか分からない」といった不安を抱えるケースも見られます。
このように、双方が相手を配慮するあまり、本来必要なコミュニケーションが不足するという逆説的な状況が、職場の関係性を難しくしていると考えられます。そして、管理職の孤独化や燃え尽き、あるいは若手の早期離職などの悪影響へとつながるという懸念も生じています。両者に共通しているのは「相手を傷つけたくない」、「問題を起こしたくない」意識の強さです。その結果、本音・期待・不満が表に出にくい関係性が形成されやすくなっている点が特徴であると言えそうです。
若手社員は「叱られないこと」よりも「関心を持たれ、言葉を掛けられること」を期待!?
では、実際には若手社員はどう考えているのでしょうか。一つの調査結果をご紹介します。2025年12月に公表されたALL DIFFERENT株式会社の調査(2025年度新入社員 約3,900名)では、若手社員は管理職や先輩との交流に対して、以下のような意識を持っていることが明らかになっています。

| [出典]:ALL DIFFERENT株式会社・ラーニングイノベーション総合研究所「社内コミュニケーションに関する若手社員意識調査」 |
調査結果から見えることは、コスパ・タイパ重視と言われる若手であっても「雑談」を望んでいるということです。「叱られないこと」よりも「関心を持たれ、言葉を掛けられること」を期待している可能性が高いと言えます。忙しそうな管理職や職場の先輩社員に対して、業務上の質問をするのにも一定の抵抗感がある世代です。日常的な会話や気軽な声かけが、若手社員の心理的安全性やモチベーション向上につながると考えられます。管理職や先輩が意識的に雑談の機会を作ることで、より良い信頼関係が構築される可能性があります。そのためには、管理職が「何を言うか」だけでなく、「どう言うか」を少し変えることもポイントになります。次回は職場でありそうなシチュエーションに応じた言い方について検討していきたいと思います。