世代間ギャップを考えるー(2)
若手の早期退職は、がんばりすぎる上司のせい?
前号では、一般社団法人日本能率協会が公表した、2022年度「新入社員意識調査」から、新入社員の特徴や傾向を紐解いてきました。
一方で、ベテラン層は若手からどのように見えているでしょうか?
そもそも取り巻く事業環境が前例の無いスピードで変化する中、一連の働き方改革や法改正への対応、DXなど、組織内でも大変革の渦中にいるベテラン層や管理職には、その対応に迫られた上で、質・量・スピードの全てを満たす難易度の高い仕事が求められています。こうして頑張りすぎる上司や管理職の姿は、不本意ながら、若手には隔たりや余所余所しさを感じさせている可能性があります。
若手育成のキーワードは「ケアして育成」
前号で紹介した「指示が曖昧なまま作業を進めること」に、「8割以上が抵抗ある」との回答の背景には、「任された仕事に対して確実に進めたい」という、まじめで堅実な姿勢が見えます。デジタルネイティブ世代である若手社員は、情報収集する能力が非常に高く、多分野に及ぶ知識が豊富です。その良くない側面としては、すぐに情報(回答)が手に入るため、試行錯誤の経験や熟考する機会が不足していることがあるようです。また、周囲の空気を読むことや悪目立ちを避けることに長けていることが挙げられます。それは他者への遠慮や気遣いをもたらすこともありますが、同調意識の高さが、ひいては自主性、主体性を発揮しづらい要因の一つとも考えられます。(もちろん、該当しない若手もいます。)
企業や組織において、少数精鋭での組織運営が求められています。一人ひとりのパフォーマンスを向上させなくては、管理職が疲弊していくばかりで持続性は期待できません。新入社員、若手社員の早期即戦力化も求められます。若手育成のキーワードは、「ケアして育成!」、次号はより具体的なコミュニケーションの在り方を検討します。