ポスト・コロナ時代の働き方
AIに仕事は奪われたのか?
10~20年後には、日本の労働人口の約49%が人工知能(AI)やロボット等で代替することが可能─。2015年12月に野村総合研究所がオックスフォード大学のマイケルA.オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究の結果として発表した推計結果です。
発表された当時には、AIに自分の仕事を奪われてしまうのではないか?と、職業消滅への不安がわきあがる一方、この推計結果が過大で非現実的だという議論も起こり、センセーショナルな出来事として記憶する人も少なくないと思います。
✔ 上場企業による早期・希望退職者募集人数が2020年累計で1万人を突破
✔ 20年春学卒者の内定取り消しが19年春卒者の5倍に、採用活動中止等も増加
✔ 休業者数は、4月の597万人をピークに7月時点で220万人
✔ 完全失業者数196万人
コロナ禍、パンデミックの収束時期が不透明な状況で、上記の通り雇用環境の悪化が浮き彫りになりました。非正規の働き手が真っ先に解雇や雇い止めにあうケース、また上場企業の主に正社員においては、早期退職の募集が増加しています。
一連の働き方改革において、女性や高齢者、外国人労働者等のあらゆる就労を促す取り組み成果が振り出しに戻る、もしくは後退したともいえる状況。まさにコロナによって仕事を奪われたといっても過言ではありません。
ポスト・コロナ時代の働き方
野村総研とオズボーン准教授の共同研究において、AIによる代替可能性が高い職業と低い職業のそれぞれ100種が提示されています。
代替可能性が高い職種の例としては、すでにRPA導入が進んでいる銀行窓口係。自動運転を前提としたタクシー・路線バス・電車運転士。ステイホームでむしろ需要増である通信販売受付事務、宅配便配達員などが挙げられています。
ここで重要なことは、一つひとつの項目について是非を問うのではなく、人工知能にせよ、コロナにせよ、あらゆる環境要因により短期間に劇的な変化がありうるということです。
今回の新型コロナウイルスのような全世界的パンデミックも然り、台風、震災などの気候変動や自然災害、さらにはテクノロジーの革新が目覚ましい時代、何が起こるか予測不可能で不確実な環境変化を前提として、それに対応しうる柔軟で弾力的な事業展開、働き方が必要になってきています。ある意味では、多様な働き方を目指す働き方改革が加速したということも言えます。
具体的には、在宅勤務・リモート、時差出勤、首都圏から地方への移住などの物理的に3蜜を避けるという方法があります。また、小売業やサービス業でも、対面ではなくリモートによる接客を試みるなどのテクノロジーを活用する方法。さらには、ヤフーやライオン、ダイハツなどでは、プロジェクトベースの副業人材を募集するなど、これまでの“働く”という概念そのものも変わりつつあります。
改めて“働く”ということを模索する時にきています。