企業における従業員の能力開発の現状-1-
国際比較で見る日本企業の能力開発費に関する現状
能力開発費とは、企業が社員の研修にかける研修費のことです。ここでいう能力開発には、職場の上司や先輩が日常的に指導する”OJT”研修は含まず、社内外を問わず職場を離れて受講する”OFF-JT”と言われる研修費用を対象にしています。
少し古いデータではありますが、厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」によると、GDPに占める企業の能力開発費が、諸外国に比べて日本は圧倒的に低いという事実が明らかになりました。
「2020年度(第44回)教育研修費の実態調査」
続いて、企業単位での調査をご紹介します。人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が2020年10月に発表した「2020年度(第44回)教育研修費の実態調査」によると、1社当たりの教育研修費用総額は、2019年度実績平均は6,599万円、2020年予算平均は7,370万円という結果でした。また、従業員一人当たりの額においても2019年度実績平均は35,628円、2020年度予算平均は39,860円と前年度より増加しているのが分かります。
次号では、実際に企業はどのような人材開発をしているのか、効果と課題、労働生産性との相関関係などを次号で具体的に考えていきたいと思います。