企業における従業員の能力開発の現状-2-
取り巻く事業環境の変化によって必要な研修テーマは変わる
厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」によると、GDPに占める企業の能力開発費が、諸外国に比べて日本は圧倒的に低いという事実が明らかになりました。
また、産労総合研究所が2020年10月に発表した「2020年度(第44回)教育研修費の実態調査」によると、従業員一人当たりの教育訓練費2019年度実績は約3.6万円という結果で前年度より若干増加しています。
研修区分(例) | 研修テーマ(例) |
階層別研修 | ●新任管理職研修 ●リーダーシップ研修 ●経営戦略研修 |
人事評価研修 | ●目標管理、目標設定研修●人事評価者研修 |
目的別研修 | ●営業力強化研修 ●問題解決研修 ●女性活躍推進研修 |
キャリアデザイン研修 | ●年代別キャリアデザイン研修 ●ライフプランセミナー ●キャリアビジョン研修 |
教育訓練の効果について
企業側、従業員側双方ともに教育訓練費の効果が見えにくいという課題を持つことも少なくないようです。
平成30年版 労働経済の分析〈要約版〉 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-(厚生労働省)の資料によると、OFF-JTや自己啓発支援への費用を支出した企業では、翌年の労働生産性等が向上する関係がみられました。
従業員の知識・技能・資質を向上させることを目的に実施する教育訓練ですが、企業の経営方針によってどの項目を重視するかは異なります。企業を取り巻く事業環境の変化への対応も大切です。終身雇用を背景に長い期間を要する教育訓練では環境変化に対応が難しくなる可能性もあります。また、近年定年年齢が上がる中、シニア層に対する研修に取り組む企業も増加しています。限られた戦力において、いかにモチベーションを保ち働いてもらうかが重要なポイントになってきました。従業員一人ひとりのキャリアの自律をサポートする教育訓練の重要性が増しています。